34業種の収益事業(不動産貸付業)
(2022年6月1日更新)
1.不動産貸付業の範囲
不動産貸付業には、店舗の一画を他の者に継続的に使用させる、いわゆるケース貸し及び広告等のために建物その他の建造物の屋上、壁面等を他の者に使用させる行為が含まれます(法人税法基本通達15-1-17)。
なお他の者に不動産を使用させる行為であっても、倉庫業、席貸業、遊技所業又は駐車場業に掲げる事業のいずれかに該当するものは、不動産貸付業に含まれません。
2.不動産貸付業に該当しない取引
法人税法施行令第5条第1項第5号のイからリで、不動産貸付業に該当しない取引が定められています。この中で、学校法人に関係する規定は以下のふたつです。
法人税法施行令第5条第1項第5号 ホ 国又は地方公共団体に対し直接貸し付けられる不動産の貸付業 ヘ 主として住宅の用に供される土地の貸付業(イからハまで及びホに掲げる不動産貸付業を除く。)で、その貸付けの対価の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの |
まず、ホで、国又は地方公共団体に対して直接貸し付けられる場合は不動産貸付業に含まれないとされています。ただし、国等から国等以外に転貸されている場合は不動産貸付業に含まれます(法人税法基本通達15-1-19)。
次に、ヘの条文ですが、「主として住宅の用に供される土地の貸付業」であり、かつ、「その貸付けの対価の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの」であるものが不動産貸付業が除外されています。
「主として住宅の用に供される土地」とは、床面積の2分の1以上が居住の用(貸家住宅の用を含み、別荘の用を除く。)に供される家屋の敷地として使用されている土地のうち、その面積が当該家屋の床面積の10倍に相当する面積以下であるものをいいます(法人税法基本通達15-1-20)。
そして「その貸付けの対価の額が低廉であることその他の財務省令で定める要件」とは、法人税法施行規則第4条で定められており、貸付の対価の額のうち、当該事業年度の貸付期間に係る収入金額の合計金額が、当該貸付けに係る土地に課される固定資産税及び都市計画税額で当該貸付期間に係るものを3倍した金額以下であることとされています。
学校法人を含む公益法人等の場合、広大な土地を所有しつつ、戦後などの一時混乱した状況の中で近隣住民に対して住宅地としての土地を低廉で貸付けた経緯があり、このようなケースでは不動産貸付業から除外する規定が設けられています。
学校法人の場合は、利便性の向上から敷地内の一部土地や建物を飲食店や店舗出店のために貸付けを行ったり、電柱等の敷地の貸し付けが行われたりします。この場合は、出店者や電力会社から対価を得ていることが多く、この場合は不動産貸付業に該当します。