学校法人向け経理/監査/会計アウトソーシング

無料相談
見積依頼

無料相談・見積依頼

法人税の申告義務

法人税の申告義務 

(2022年6月1日更新)

1.私立学校法と法人税の収益事業の違い

  私立学校法も法人税法も収益事業について定めています。どちらも同じ「収益事業」という用語を用いているので、両者は同一のものと思われがちです。しかし、法人税の収益事業は、私立学校法上の収益事業と範囲が異なります。 

 

  学校法人は、法人税法の定める収益事業を行っていなければ法人税の申告義務はありませんし、私立学校法の定める収益事業を行っていなくても、法人税法上の収益事業を行っていれば法人税の申告が必要となります。

2.法人税の収益事業の判断

  法人税の収益事業に該当するかどうかは、「政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われる」ことを要件として判断します。 

 

  要件は、①政令で定める事業を行っていること、②継続して行うこと、③事業場を設けて行われることの3つです。このため、いわゆる34業種に該当する事業を行ったとしても、継続して行っていなかったり、事業場を設けて行われていない場合には、法人税の収益事業に該当しません。 

 

   「①政令で定める事業」については次章以降で詳しく説明します。ここでは、「②継続して行うこと」と「③事業場を設けて行われること」のふたつの要件について解説します。  

 

  ② 継続して行うこと  

 

  まず、「継続して行うこと」とは、文言通り事業年度の全期間を通じて行う場合が該当します。またそれ以外にも、季節的に収益事業を行うものについては、相当期間行っていれば、継続しているものとして扱われます。法人税法基本通達では以下のように規定されています。 

 

法人税法基本通達15-1-5 (継続して行われるもの)

 法第2条第13号《収益事業の意義》の「継続して……行われるもの」には、各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、次のようなものが含まれることに留意する。 

(1)例えば土地の造成及び分譲、全集又は事典の出版等のように、通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するもの 

(2)例えば海水浴場における席貸し等又は縁日における物品販売のように、通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、若しくは不定期に反復して行われるもの 

 

(注) 公益法人等が令第5条第1項各号《収益事業の範囲》に掲げる事業のいずれかに該当する事業(以下15-1-5において「特掲事業」という。)とこれに類似する事業で特掲事業に該当しないものとを行っている場合には、その行う特掲事業が継続して行われているかどうかは、これらの事業が全体として継続して行われているかどうかを勘案して判定する。

 

  ③ 事業場を設けて行われること


  次に、「事業場を設けて行われること」については、常設された売店のイメージが強いですが、移動販売など場所が点々と移動するものも、事業場を設けて行うことに該当します。 

 

 法人税法基本通達15-1-4(事業場を設けて行われるもの)

 法第2条第13号《収益事業の意義》の「事業場を設けて行われるもの」には、常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けてその事業を行うもののほか、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設け、又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものが含まれる。したがって、移動販売、移動演劇興行等のようにその事業活動を行う場所が転々と移動するものであっても、「事業場を設けてもの」に該当する。

  

3.法人税法上の収益事業を行う場合に必要となる税務手続

 法人税の収益事業に該当する場合は、収益事業開始届出と確定申告書の提出が必要になります。

  

①収益事業開始届出

 新たに収益事業を開始する場合は、開始した日から2か月以内に収益事業開始届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません(法人税法第150条)。

 

 また、義務ではありませんが、通常は青色申告法人となるため、青色申告の承認申請書を同時提出します(法人税法122条)。提出期限は、公益法人等の新たに収益事業を開始した日の属する事業年度の場合は、開始した日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までとされています。

 

②確定申告書を提出

 その収益事業から生ずる所得について、各事業年度終了の翌日から2か月以内に、所轄税務署長に確定申告書を提出しなければなりません(法人税法第74条、法人税法施行令第6条)。

 

 なお、法人税法上の収益事業を営む場合、収益事業から生ずる所得に関する経理(所得計算)をする必要があります。このため、学校法人会計で行われる経理(資金収支計算などの計算書類を作成するための経理)とは別に、法人税法上の収益事業の所得計算をするための経理を行わなければなりません。また、法人税法上の収益事業の所得計算では、いわゆる一般の株式会社と同様の「損益計算」を前提とするものになるため、学校法人会計で利用している会計ソフトは利用できません。

 

 このため、法人税法上の収益事業を計算するための会計ソフトを用意したり、法人税の申告対応をしてくれる税理士を探したりといった事前の準備が必要になります。なお、法人税の確定申告を対応する顧問税理士を採用する場合は、法人税法上の収益事業を計算するための会計処理なども含めて委託するのが一般的なため、会計ソフトの用意は不要です。

 

 また、一方で、私立学校法の収益事業に該当する事業を行う場合には、寄附行為にその事業の種類その他その事業に関する規定を設け、当該寄附行為につき所轄庁の認可をとることになります(私立学校法第30条第1項第9号)。合わせて、学校法人会計における経理においても、通常の経理とは区分して、特別の会計として経理しなければなりません(私立学校法第26条第3項)。私立学校法の収益事業に係る会計処理などについては、以下を参照してください。

 

 学校法人における収益事業会計:https://www.ikp-school.com/useful/rule/005.html

お役立ち情報

PAGETOP

監査・会計・税務・経理代行のことなら、
まずはお気軽にご相談ください。

学校法人の監査・会計・税務・経理代行に関するお問い合わせ・お見積もり依頼は、
電話・問い合わせフォームより受け付けております。

03-3527-9419受付時間 9:30~18:00

無料相談・見積依頼