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学校法人会計における注記事項ー関連当事者との取引

学校法人会計における注記事項ー関連当事者との取引

(2021年6月1日更新)

1.関連当事者の範囲

 関連当事者との取引は恣意性の介入する余地があるために特に透明性が要求されます。したがって、関連当事者が自己又は第三者のために学校法人と取引を行った場合には、取引内容を記載することによって学校法人の計算書類の透明性を高めることに関連当事者との取引を注記する意義があります(学校法人委員会研究報告第16号「計算書類の注記事項の記載に関するQ&A」(最終改正平成26年12月2日、日本公認会計士協会)Q24)。

 

 「関連当事者」とは、

 ア.関係法人

 イ.当該学校法人と同一の関係法人をもつ法人

 ウ.当該学校法人の役員及びその近親者(配偶者又は2親等以内の親族)又はこれらの者が支配している法人

をいいます(「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」平成17年5月13日17高私参第1号2(6)1)。

 

 ここで「注記の対象となる関係法人」とは、一定の人的関係、資金関係等を有する法人をいい、具体的には、

 ア.一方の法人の役員若しくは職員等が、他方の法人の意思決定に関する機関の構成員の過半数を占めていること

 イ.法人の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の総額の過半について融資を行っていること

 ウ.法人の意思決定に関する重要な契約等が存在すること

が該当します。ただし、財務上又は事実上の関係から法人の意思決定に関し重要な影響を及ぼさないことが明らかな場合は除外されます(同2(6)2)。

 

 関連当事者との取引が無償の場合又は有償であっても時価に比して著しく低い金額等による場合には、原則として第三者間において通常の取引として行われる場合の金額等によって重要性を判断し、注記します(同2(6)3)。

 

 ただし、以下の場は注記を要しないとされています(同2(6)4)。

 ア.一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引

 イ.役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い

 ウ.当該学校法人に対する寄附金

 

  また、その他取引の金額及び残高からみて重要性が乏しい取引については、省略することが考えられます。その場合の重要性の判断については、学校法人の規模によって異なるため、学校法人が決定し毎年度継続的に採用することが望ましいですが、例えば、以下のように決定することが考えられます(学校法人委員会研究報告第16号「計算書類の注記事項の記載に関するQ&A」(最終改正平成26年12月2日、日本公認会計士協会)Q28)。

 

 ・役員及びその近親者との取引については、100万円を超える取引について全て注記する。

 ・その他の関連当事者との取引は、事業活動収入計の1/100に相当する金額(その額が500万円を超える場合には、500万円)を超える取引については全て注記する。

 

 なお、関連当事者に該当するか否かは、個々の取引の開始時点で判定するものとし、関連当事者が会計年度中に関連当事者に該当しなくなった場合には、関連当事者に該当している間の取引については注記しなければなりません。なお、会計年度途中で関連当事者に該当しなくなった後の取引については、記載を要しません(同Q26)。

2.関連当事者との取引注記に関する記載事項

 関連当事者との取引にかかる注記の記載事項は以下のとおりです(学校法人委員会研究報告第16号「計算書類の注記事項の記載に関するQ&A」(最終改正平成26年12月2日、日本公認会計士協会)Q27)。

 

 (1) 当該関連当事者が会社等の場合には、その名称、所在地、資本金又は出資金、事業の内容(及び当該会社等の議決権に対する当該学校法人の所有割合)

 (2) 当該関連当事者が個人の場合には、その氏名、職業

 (3) 当該学校法人と当該関連当事者との関係

 (4) 取引の内容

 (5) 取引の種類別の取引金額

 (6) 取引条件および取引条件の決定方針

 (7) 取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高

 (8) 取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が計算書るに与えている影響の内容

 

 (1)における所在地は、市区町村までの記載が一般的です。個人の場合は住所の記載は不要です。

 

 (3)における関係内容としては、「役員の兼任等」としてその人数、「事実上の関係」の欄には、資金援助、設備の賃貸借、業務委託等の関係内容について簡潔に記載します。

 

 (6)取引条件の決定方針は、「市場の実勢価格を勘案して発注先及び価格を決定している」や「市場価格を勘案して一般的取引条件と同様に決定している」といった脚注の記載が想定されています。なお、取引条件が一般と比べて著しく異なる場合には、その条件を具体的に記載します。

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