知事所轄学校法人会計のQ&A
(2021年6月1日更新)
1.引当特定預金の利息の配分
東京都では、知事所轄学校法人に対して監査を実施しています。そして、監査指摘事項で重要と思われる事項を、「知事所轄学校法人会計Q&A-東京都の事例を中心として-」(日本公認会計士協会東京会学校法人特別委員会 平成28年6月15日最終改正)にまとめています。ここでは、Q&Aの中から一部を抜粋して解説します。
【Q1.引当特定預金の利息の配分】
複数の目的のために第2号基本金引当特定預金を設定している場合の利息は、特定の部門に充てるものは当該部門の収入とし、明らかではない場合は各部門に配分する。配分方法は、各部門の収入の割合を基準とするなどの特例配分が考えられる(在学者数、教職員数、使用時間数等は馴染まないと思われる)。なお新たに設置する学部に関するものは、学校法人部門に計上する。
2.寄付金に関する処理
学校法人では、PTAらからの寄付金や寄贈が多く寄せられます。ここでは寄付金に関係するQ&Aをまとめています。
【Q2.短大記念館建設の特別寄付金の計上】
短大記念館の建設にあたり、学外から広く寄付を募集するとともに、短大の後援会、同窓会並びに併設する中学校・高等学校の父母会、後援会等からも募っている。
このような場合、特別寄付金の計上部門は、特別寄付金の目的とする支出によって決まることから、中学校・高等学校の関係者からの寄付金収入であっても、短大記念館建設のための寄付金であれば、短大部門に計上する。
【Q15.図書の寄贈の会計処理】
図書の寄贈など現金預金等以外の品物を寄付された場合の会計処理は、事業活動収支だけの科目となる。固定資産に該当する図書であれば、借方科目は図書とし、固定資産に該当しない図書であれば、借方科目は出版物費とする。貸方科目は現物寄付とする。通常の取得に要すると思われる価額で計上する。
3.経常費補助金の対象経費
東京都の経費補助金の対象科目は「私立学校経常費補助金交付要綱」に定められており、要綱は毎年度見直しがされます。ここでは、平成28年度の交付要綱に示されている、私立高等学校・中学校・補助金対象経費をまとめています。
【Q16.経費補助金の対象となる経費】
ア 人件費支出
教員人件費支出、職員人件費支出
イ 教育研究経費支出
消耗品費支出、光熱水費支出、旅費交通費支出、車輛燃料費支出、福利費支出、通信運搬費支出、印刷製本費支出、出版物費支出、修繕費支出、損害保険料費支出、賃借料支出(土地及び建物に対するものを除く。)、公租公課支出、諸会費支出、会議費支出、報酬・委託・手数料支出、生徒活動補助金支出
ウ 管理経費支出
消耗品費支出、光熱水費支出、旅費交通費支出、車輛燃料費支出、福利費支出、通信運搬費支出、印刷製本費支出、出版物費支出、修繕費支出
エ 設備関係支出
教育研究用機器備品支出、管理用機器備品支出、図書支出
学校法人立幼稚園の場合は、人件費支出のうち「本務教員人件費支出」及び「本務職員人件費支出」が対象となり、教育研究経費支出のうち「研究費支出」と「行事支出」も対象になる点が異なります。
なお、他の補助事業の対象となる経費は除かれるため、計算書類の金額と必ずしも一致しません。
4.預り金の会計処理
学校法人では、模擬試験代、バス代、行事費など、生徒から現金を預かることがあります。ここでは預り金の会計処理に関するQ&Aをまとめています。
【Q26.生徒からの旅行費の預り金に係る利息の会計処理】
生徒から旅行費として現金を徴収した場合、預り金に係る預金利息を、預り金とするか帰属収入とするかは、旅行費預り金取扱規程等に定めるところによる。
この規程には、①預り金の管理保管の手続と責任、②預り金から生じる利息配当金の帰属、③引率教員の旅費の支出、④旅行終了時又は卒業時の剰余金の処分方法、⑤年度末計算書類の作成に関する事項などについて定めて、保護者にあらかじめ提示し、了解を得ることが必要である。
また、多額の剰余金が生じることのないよう、徴収に際しては預り金の額を適正に定める。
【Q27.学力テストなど実費での預り金の会計処理】
外部業者が行う学力テストや諸検査費用を生徒から預かった場合、例え徴収額が実費であり業者に同額を支払うとしても、預り金受入収入、預り金支払支出として学校会計に繰り入れるべきである。