学校法人会計における第4号基本金
(2021年6月1日更新)
1.第4号基本金
学校法人会計基準において第4号基本金は以下のように定義されています。
学校法人会計基準 第30条(基本金への組入れ) 学校法人は、次に掲げる金額に相当する金額を、基本金に組み入れるものとする。 ・・・略・・・ 四 恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣の定める額 ・・・以下、略・・・ |
第4号基本金は、
・恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣の定める額
が該当します。
●第4号基本金の「資金」の範囲
恒常的に保持すべき資金の額を基本金とする趣旨は、学校法人は必要な運転資金を常時保持していなければ諸活動が円滑にできないからとされています。従来は、恒常的に保持する対象は「支払資金」であるとされていましたが、昭和62年の基準改正により「資金」となりました(学校法人委員会研究報告第15号「基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&A 」Q1-5)。
「支払資金」は、基準第6条に定める定義により、現金及びいつでも引き出すことができる預貯金となりますが、第4号基本金に係る恒常的に保持すべき「資金」は、支払資金に限定されないより広い概念であり、他の金融資産をも含むものと考えられます。恒常的に保持すべき資金は、支払資金の不時の不足に充てるための運転資金の性格からみて、随時換金性と元本保証確実性が要求されます(同Q1-5)。
より具体的には、「学校法人会計基準の一部改正について(通知)」(平成25年9月2日25高私参第8号)Ⅲ2(2)において、現金預金及びこれに類する金融商品と定められています。この現金預金とは貸借対照表上の現金預金であり、これに類する金融商品とは、他の金融商品の決済手段として用いられるなど、支払資金としての機能をもっており、かつ、当該金融商品を支払資金と同様に用いられている金融商品をいい、第4号基本金に対応する名称を付した特定資産を含み、その他の特定資産は含まないものとされています。
2.第4号基本金の「別に文部科学大臣の定める額」
第4号基本金の計算方法については、「学校法人会計基準第30条第1項第4号に規定する恒常的に保持すべき資金の額について」(平成25年9月2日文科高第381号)にて、具体的な金額を定めています。
文科高第381号 1 学校法人が学校法人会計基準第30条第1項第4号の規定に基づき、恒常的に保持すべき資金の額は、前年度の事業活動収支計算書における教育活動収支の人件費(退職給与引当金繰入額及び退職金を除く。)、教育研究経費(減価償却額を除く。)、管理経費(減価償却額を除く。)及び教育活動外収支の借入金等利息の決算額の合計を⑫で除した額(100万円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てることができる。)とする。 なお、本項により計算した額(以下「計算額」という。)が前年度の保持すべき資金の額を下回るときは、その差額を取崩しの対象としなければならない。 2(特例) ア 計算額が、前年度の保持すべき資金の額の100分の80以上100分の100未満の場合は、前項の規定にかかわらず、前年度の保持すべき資金の額をもって、当年度の保持すべき資金の額とする。 イ 計算額が、前年度の保持すべき資金の額の100分の100を超えて100分の120以内の場合は、前項の規定にかかわらず、前年度の保持すべき資金の額をもって、当年度の保持すべき資金の額とすることができる。 ・・・経過措置は省略・・・ |
3.第4号基本金と注記
第4号基本金については、第4号基本金に相当する資金を有している場合、有していない場合ともに注記が必要となります(「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」(平成25年9月2日25高私参第8号)Ⅲ.2(1))
●有している場合
当該会計年度の末日において第4号基本金に相当する資金を有していない場合のその旨と対策 第4号基本金に相当する資金を有しており、該当しない。 |
●有していない場合
当該会計年度の末日において第4号基本金に相当する資金を有していない場合のその旨と対策 第4号基本金に相当する資金を以下のとおり有していない 第4号基本金 ×××円 資金 現金預金 ×××円 有価証券(※1) ×××円 〇〇特定資産(※2) ×××円 計 ×××円 (※1)有価証券は現金預金に類する金融商品である。 (※2)〇〇特定資産は第4号基本金に対応した特定資産である。 現在、主要な債権者である〇〇等と協議の上、平成〇〇年度から平成〇〇年度までの経営改善計画を作成し、〇〇等の経営改善に向けた活動を行っている。 |
4.知事所轄学校法人の第4号基本金の特例
知事所轄学校法人では、第4号基本金の組入れをしないことが特例として認められています。
学校法人会計基準 第39条(基本金組入れに関する特例) 知事所轄学校法人は、第30条第1項の規定にかかわらず、同項第4号に掲げる金額に相当する金額の全部又は一部を基本金に組み入れないことができる。 |